『傲慢と善良』レビュー | ただの恋愛小説じゃない! あなたの価値観を揺さぶる傑作


『傲慢と善良』という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
一見、相容れないこの二つの言葉は、実はほとんどの人たちの中に潜んでいるものなのかもなぁ、とこの本を読み終えて感じました。
この小説は、単なる恋愛小説として消費するには、あまりにもったいない作品です。
あなたの価値観を揺さぶり、眠っていた感情を呼び覚ますような、そんな力を持っています。
その力の正体はとても恐ろしいものかもしれませんが・・・


・読書が苦手なのに大学で国文学を専攻してしまう。
・社会人になり自己啓発書をきっかけに読書の大切さを知る。
・病気療養中に小説を読むことの楽しさに目覚める。
・2019年よりオーディブルを利用開始。
・月に10冊以上の本を聴いています。
【聴く読書】習慣を日常生活に取り入れるヒント、オーディブル活用方法やおすすめの本などを発信中。
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作品概要


辻村深月さんの小説『傲慢と善良』は、婚約者の失踪をきっかけに、「傲慢」と「善良」という人間にとって普遍的なテーマを日本の結婚事情と照らし合わせながら描かれた作品です。
物語のあらすじ
結婚を間近に控えた西澤架(かける)の婚約者、坂庭真実(まみ)が突然姿を消します。
ストーカーの存在をほのめかしていた真実(まみ)の失踪を案じて、架は(かける)必死に彼女の足跡を辿ります。
しかし、彼女の過去をたどるうちに、見えてきたのは知らなかった真実(まみ)の姿でした。
主な登場人物
- 西澤架(かける):恋愛経験が豊富な30代後半のイケメン。
- 坂庭真実(まみ):大人しく従順、自己評価が低い。
物語の核心に迫る | 「傲慢」と「善良」って?


この物語のキーワードでもあり、核心の部分でもある「傲慢」と「善良」という言葉が持つ意味をまずは深く見ていきましょう。
自己中心的、プライドが高いといったネガティブなイメージがありますよね。
自分を高く評価するあまり、傲慢な人は相手を見下してしまうこともあるでしょう。
「善良」という言葉は、一見ポジティブなイメージがあります。
しかし、いわゆる「良い子」として育った人の中には、面白みが欠ける、自分の意見を持てない、周囲の期待に応えようと必死、という一面も見受けられる気がします。
結果、いわゆる「善良」な人ほど生きづらさを感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
この作品の中では、結婚相談所の小野里という女性が、現代の日本で結婚がうまくいかない理由を『傲慢さと善良さにある』と指摘しています。

この小野里さんのキャラクターが、ある意味この作品のミステリーな部分を増幅させていて。。。
彼女が核心を突く言葉を発するたびにドキッとしました。

なぜ、この小説は『ただの恋愛小説じゃない』のか?


この小説が単なる恋愛物語ではないのは、現代社会が抱える問題点を鮮やかに描き出しているからなんです。
- 婚活市場の競争
- 条件で相手を判断する現代的な婚活のリアル。
- 地方と都市の格差
- 地方出身者が抱える閉塞感や、親世代の価値観との衝突。
- 親世代の価値観の押し付け
- 結婚やキャリアに対する親の期待が子供の人生を縛るリアル。
これらの問題は、『傲慢』と『善良』というレンズを通して語られています。また、自己啓発的な要素もこの作品の魅力ではないかな、と感じました。
架と真実は、自分と向き合い、悩み、成長していきます。
その姿は、僕たち読者の生き方を見つめ直すきっかけをも与えてくれるでしょう。
僕が心を揺さぶられたポイント

オーディブルで聴いてみた!

僕はこの作品をAmazonオーディブル(オーディオブック)で聴いて楽しみました!
主人公二人のナレーターの視点からも感想をお伝えしますね。
『傲慢と善良』のオーディブル版をナレーターの視点からお話すると・・・
ひとことで言うと、雨宮天さんと松岡禎丞さん(共に声優)の朗読、この作品に読者(聴者)をどっぷりと引き込んでくれます。
この作品は、恋愛ミステリーっぽい雰囲気で人間関係や心の動きがすごく複雑なんですが、二人の声のおかげで感情がグッと伝わってくるんです。
まず、雨宮天さん。
彼女の声ってほんと透明感があって、優しいんだけどちゃんと感情が乗っていて。
主人公の坂庭真実(まみ)の不安とか脆さ、失踪に至るまでのドキドキする気持ちを、雨宮さんの柔らかい声がすっと耳に入ってきて、ミステリー感がバッチリ出ていました。
特に感情が溢れちゃうシーンでは、声のトーンが変わって、聴いてるこっちまで真実(まみ)の気持ちに引き込まれちゃう感じ。
そして、松岡禎丞さん。
彼の声は力強くて、でも細かいニュアンスもちゃんとあって、聴いてて心地良いし安心感があります。
西澤架の視点になると、架の決意とか葛藤が松岡さんのしっかりした声でガツンと伝わってくる。
真実の過去を追いかける架の焦りとか切実さが声からビシビシ感じられて、物語にグイグイ引き込まれました。
ただ、総再生時間が12時間以上ある長編なので、人によっては「感情が強すぎてちょっと疲れるな」と感じる瞬間もあるかもしれません。
でも、雨宮天さんと松岡禎丞さんの実力派な演技のおかげで、辻村深月さんの人間ドラマが立体的になって、ほんと聴きごたえあります。

読むのも良いですが、「聴く」ことでまた新しい感動が味わえる作品になってると思いますよ!

こんな人にオススメ!

- 自分の価値観や親の結婚観に疑問を感じている人
- 現代社会の閉塞感に生きづらさを感じている人
- ミステリー、恋愛、混沌とした人間ドラマが好きな人

『傲慢と善良』は、単なる恋愛小説ではありません。
読者の価値観を揺さぶり、人生を深く考えるきっかけを与えてくれる作品だと思います。
すこし苦しくなるかもしれませんが、自分の心と向き合うことができますよ。

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